パワー・ハラスメント関連の労働事件と、モラル・ハラスメントを離婚原因とする離婚事件とを受任してみると、加害者の言動が酷似していることに気付きます(このことは、特に、録音記録を聞いてみるとすぐ分かります。)。いずれも、加害者は、被害者に対し、一貫して「お前はダメな奴だ。それに対して、俺は優れている」というメッセージを投げつけているのです。

パワハラとモラハラでは、職場と家庭という場の違いはありますが、どうやら、加害者には、共通の属性があるようです。問題は、この「共通の属性」が何であるかですが、最近、弁護士会の研修を受けて、答えが見つかりました。それは、パワハラやモラハラの加害者は、「自己愛性人格障害」という一種のパーソナリティ障害を抱えているというものです。

確かに、例えば、モラハラの加害者は、家庭内で自分より弱い立場にある配偶者や子供に対し、相手の弱点・落ち度をとらえて執拗に指摘・攻撃したり、相手を自分の意のままにコントロールしようとしたりする一方で、自分の長所や手柄話を延々と語りたがるなどといった共通の特徴があり、これらは自己愛性人格障害の特徴とされています。

それでは、どうして、パワハラやモラハラの加害者は、自己愛性人格障害に陥ってしまう(あるいは、その症状に似た言動を行うようになってしまう)のでしょうか?