国籍法2条1号は、「出生の時に父又は母が日本国民であるとき。」は、子は日本国籍を取得すると定めているところ、ここでいう「父」又は「母」が、法律上の父又は母を指すことには異論がありません(「国籍法」(有斐閣法律学全集)27頁)。

したがって、例えば、夫が日本人、妻が外国人であって、その婚姻期間中に子供が生まれた場合(婚姻や嫡出決定には問題がなく、日本法が適用されるものとします。)には、その子供は日本国籍を取得することになります。

ところが、嫡出推定が及ぶ場合であっても、生物学上の父が日本人ではないときがあり(実際、私もそのような相談を受けたことがあります。)、そうすると生物学上の父母がともに日本人ではないにもかかわらず、その子供が日本国籍を取得出来てしまうということとなります。

かなり前から、実体のない婚姻や養子縁組によって日本人の配偶者等の地位を得させるという、いわゆる「戸籍ビジネス」が流行していたのですが、こうした犯罪と、前述した嫡出推定の規定とが相俟って、「国籍ビジネス」なるものが生じる可能性がある点には、気をつける必要があると思います。