パワハラやモラハラの加害者に特徴的なのが、常軌を逸した「怒りの発作」です(もちろん、真綿で首を絞めるような「イビリ」などもありますが、これも根底には「怒り」があると思われます。)。では、そもそも人はなぜ怒るのでしょうか?
前提として、「怒り」の定義を行っておく必要があると思われますが、この点について、精神科医の片田珠美先生は、「怒り」とは、「『何かうまくいっていないことがあって、心のなかにあわだつものがある。そのため、何もかもをめちゃくちゃにしてしまうおそれがあるので、怒りの原因となっている問題を何とかすべきである』と警告するサイン」であり、大抵の場合、「怒りの原因」は、「自分の力ではどうにもならないものに直面した際の無力感」であると指摘します(「なぜ、「怒る」のをやめられないのか」(光文社新書)p6・40・248)。
そして、「無力感」を覚えると、「自分はもっとすごいはず」という自己愛的イメージが傷つくことから、その反応として、「無力」な状況を解消するために「怒り」(外部的存在を攻撃することによって支配ないし無価値化しようとする行動)が発現するという仮説が導き出されます(前掲p249、「他人を攻撃せずにはいられない人」(PHP新書)p116・130・145)。