最近よくDNA鑑定の話題がマスコミで取沙汰されますが、ほとんどの場合、「父子鑑定」(Paternity Test)を指しています。母親の場合、出産という事実そのものが、母親であることを証しているからです。
ところが、DNA鑑定で明らかになる「父」、すなわち「生物学的父親」(biological father)は、民法上の「父」とは必ずしも一致しません。
確かに、「認知の訴え」(787条)や「父を定めることを目的とする訴え」(773条)でいうところの「父」は、生物学的父親と解されますが、それ以外にも「父親」は存在します。これを、「社会学的父親」、「Pater」(ぺイター)などと呼び、民法はむしろこちらを原則としているように思われます。